last, lastb - 最近ログインしたユーザーを一覧表示する
last [options] [username...] [tty...]
lastb [options] [username...] [tty...]
last は、/var/log/wtmp ファイルを (または、-f オプションによって指定されたファイルを) 遡って調べて、 そのファイルが作成されて以来ログインした (そして、ログアウトした) すべてのユーザーのリストを表示する。 一つ以上のユーザー名 (username) や端末名 (tty) を引数として渡すこともでき、 その場合は、 そうした引数にマッチした記録 (entry) のみを表示することになる。 tty の名前は、短縮することができる。 たとえば last 0 は、 last tty0 と同じである。
SIGINT シグナル (割り込みキーにより発生、通常は Control-C 押下による) や SIGQUIT シグナルを受け取ると、 last は、ログファイルの検索を行ったところまで表示し、 SIGINT シグナルの場合は、そこで動作を打ち切る。
システムをリブートするたびに、疑似ユーザーの reboot がログインする。 したがって、last reboot を実行すると、 ログファイルが作成されて以来のすべてのリブートの記録を表示することになる。
lastb は、last とよく似ている。ただし、こちらがデフォルトで表示するのは、 ファイル /var/log/btmp に記録されたログである。 そこには、ログインに失敗したすべての試みが記録されている。
-a, --hostlast
ホスト名を最後の列に表示する。 --dns オプションと組み合わせて使うと便利である。
-d, --dns
ローカル以外のログインに対して、Linux はそのリモートホストのホスト名だけでなく、IP アドレスも記録する。 このオプションは、IP アドレスを変換して、ホスト名に戻す。
-f, --file file
/var/log/wtmp の代わりに特定のファイル file を使用することを last に指示する。 --file オプションは複数回指定することができ、 その場合は、指定されたすべてのファイルが処理されることになる。
-F, --fulltimes
ログイン、ログアウトの詳細な日時を表示する。
-i, --ip
--dns と同様であるが、 ホスト名前ではなく、 IP アドレスを表示する。
-number; -n, --limit number
何行表示すべきかを last に指示する。
-p, --present time
指定された日時にログインしていたユーザーを表示する。 このオプションは、--since と --until オプションに同じ日時 time を指定して、 一緒に使うのとほぼ同じである。
-R, --nohostname
ホスト名のフィールドを表示しない。
-s, --since time
指定した日時 time 以後のログイン状態を表示する。 このオプションは、 たとえば、 特定の日時に誰がログインしていたかを手早く突き止めたいときに、 便利である。 --until と組み合わせて使うことが多い。
-t, --until time
指定した日時 time までのログイン状態を表示する。
--time-format format
出力するタイムスタンプの書式を format にする。 format は notime, short, full, iso の内のどれかである。 notime はタイムスタンプを全く表示せず、 short はデフォルト、 full は --fulltimes オプションと同じである。 iso は ISO-8601 のフォーマットでタイムスタンプを表示する。 ISO フォーマットは、タイムゾーンの情報を含んでいるので、 ログのプリントアウトがシステムの外部で調べられるときに、 望ましい形式になる。
-w, --fullnames
省略しないユーザー名とドメイン名を出力に表示する。
-x, --system
システムのシャットダウンとランレベル変更の記録を表示する。
-h, --help
ヘルプを表示して終了する。
-V, --version
バージョンを表示して終了する。
引数に time を取るオプションは、以下の書式を解する。
YYYYMMDDhhmmss | |
YYYY-MM-DD hh:mm:ss | |
YYYY-MM-DD hh:mm | (秒は 00 になる) |
YYYY-MM-DD | (時刻は 00:00:00 になる) |
hh:mm:ss | (日付は今日になる) |
hh:mm | (日付は今日、秒は 00) |
now | |
yesterday | (時刻は 00:00:00 になる) |
today | (時刻は 00:00:00 になる) |
tomorrow | (時刻は 00:00:00 になる) |
+5min | |
-5days |
/var/log/wtmp, /var/log/btmp
wtmp や btmp といったファイルは、 存在しないことがある。 システムは、そうしたファイルが存在するときにだけ、 情報をそこに記録する。 これは、個々のサイトにおける設定の問題である。 もし、こうしたファイルを使用したい場合は、 touch のような単純なコマンドで作成すればよい (たとえば touch /var/log/wtmp)。
空エントリーは、 wtmp エントリーにおいては正しいタイプである。 つまり空ファイルやゼロで埋められたファイルは、 エラーとして解釈されない。
login(1), wtmp(5), init(8), shutdown(8)
バグ報告は、 以下にある issue トラッカーを利用すること。 <https://github.com/util-linux/util-linux/issues>.
last コマンドは util-linux パッケージの一部であり、 以下からダウンロードできる。 Linux Kernel Archive <https://www.kernel.org/pub/linux/utils/util-linux/>.